良い組織とは何か?~組織の健康を支える「仕組み」と「文化」~

前回の記事では、「良い組織とは何か?」というテーマについて、Good Governance(良いガバナンス)と説明責任(Accountability)の研究をもとに考えてみました。

そこでは、

  • 透明性
  • 公平性
  • 参加型意思決定
  • 説明責任

といった仕組みが、組織の健康性を高めることが示されていました。

では、組織の健康性とは具体的にどのような状態なのでしょうか。

今回はOrganizational Health(組織健康性)に関する文献レビューをもとに、健康な組織の特徴と、それを支える要素について考えてみたいと思います。


目次

組織健康性とは何か?

組織健康性とは、単に利益を出している状態ではありません。

1960年代から研究されている概念であり、

Milesは健康な組織を

長期的に存続しながら、継続的に成長し、自らの能力を発展させ続ける組織

と定義しています。

また別の研究では、

財務的な成功と従業員の健康が両立している組織

とも説明されています。

つまり組織健康性とは、

「成果」と「人」の両方が健全な状態

と言えるでしょう。


健康な組織にはどんな特徴があるのか

Milesは健康な組織に共通する特徴として、次のような要素を挙げています。

  • 目標が明確である
  • コミュニケーションが十分である
  • 組織に一体感がある
  • 士気が高い
  • イノベーションが生まれる
  • 自律性がある
  • 問題解決能力が高い
  • 環境変化への適応力がある

これを見ると、

健康な組織とは単なる「仲良し集団」ではなく、

変化に対応しながら成果を出し続けられる組織

であることが分かります。


組織健康性を高める3つの要素

今回の文献レビューでは、組織健康性を高める要因として主に3つが紹介されていました。


① 組織コミットメント

組織コミットメントとは、

「この組織のために頑張りたい」

という気持ちです。

組織への愛着や帰属意識とも言えるかもしれません。

研究では、

従業員に裁量権が与えられ、

自分で考えて行動できる環境ほど、

組織コミットメントが高まりやすいことが示されています。

前回紹介したガバナンスの研究とも重なる部分があります。

透明性や説明責任が高い組織では信頼が生まれやすく、その信頼がコミットメントにつながる可能性があります。


② 組織的公正感

組織的公正感とは、

「自分は公平に扱われている」

という感覚です。

例えば、

  • 評価基準が明確である
  • 情報が適切に共有される
  • 意思決定の理由が説明される
  • 人として尊重される

といったことが含まれます。

実はこれは前回の研究で扱われていた

「良いガバナンス」

と非常に近い概念です。

透明性や説明責任は、

組織に対する公正感を高める重要な要素と言えるでしょう。


③ 変革型リーダーシップ

組織健康性を支えるもう一つの要素が、

変革型リーダーシップです。

変革型リーダーは、

  • ビジョンを示す
  • メンバーを鼓舞する
  • 成長を支援する
  • 新しい挑戦を促す

といった特徴を持っています。

組織は常に変化にさらされています。

だからこそ、

管理するだけではなく、

未来へ向かう方向性を示せるリーダーの存在が重要になります。


健康な組織は何を生み出すのか

組織健康性が高まることで、組織にはどのような変化が起こるのでしょうか。

文献レビューでは主に3つの結果が紹介されています。


競争優位性

健康な組織は、

独自の強みや文化、人材を育てやすくなります。

それらは簡単には真似できないため、

競争優位性につながります。


目標の整合性

組織全体が同じ方向を向きやすくなります。

部門ごとのバラバラな行動ではなく、

共通の目的に向かって進めるようになります。


変化への対応力

健康な組織は変化に強いと言われています。

市場環境の変化や制度変更があったとしても、

柔軟に対応できる力を持っています。


「仕組み」と「文化」の両方が必要

前回の研究では、

組織の健康性を支える仕組みとして

  • 透明性
  • 公平性
  • 説明責任
  • 参加型意思決定

が示されていました。

一方で今回の研究では、

  • 組織コミットメント
  • 組織的公正感
  • 変革型リーダーシップ

といった文化的な側面が重要であることが示されています。

つまり、

良い組織を作るためには、

仕組みだけでも、文化だけでも不十分

ということです。

透明性のある仕組みが信頼を生み、

信頼がコミットメントを生み、

その積み重ねが組織の健康性につながっていくのかもしれません。


まとめ

今回紹介した文献レビューと前回の研究を合わせて考えると、

良い組織とは、

公平で透明な仕組みを持ち、人が安心して成長できる文化を備えた組織

と言えそうです。

そしてその結果として、

  • 人が定着する
  • 成果が生まれる
  • 変化に対応できる

という好循環が生まれます。

組織健康性という考え方は、

単なる職場環境の話ではありません。

それは、

組織が長期的に成長し続けるための土台そのものなのです。


参考文献

Soehartono DR, Herachwati N, Suhariadi F. Organizational Health: A Literature Review of Antecedent and Consequences. RSF Conference Proceeding Series: Business, Management and Social Science. 2023.

Taheri T, Amerzadeh M, Alizadeh A, Kalhor R. The impact of good governance on organizational health with the mediating role of organizational accountability. BMC Health Services Research. 2025.

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