良い組織はどう作られるのか?~組織の健康を高める「良いガバナンス」と説明責任の重要性~

「働きやすい職場とは何だろう?」

「人が辞めない組織にはどんな特徴があるのだろう?」

組織づくりについて考えるとき、多くの人は「良いリーダー」や「優秀な人材」を思い浮かべるかもしれません。しかし近年の研究では、個人の能力だけではなく、組織そのものの仕組みが重要であることが明らかになっています。

今回は2025年に発表された研究

“The impact of good governance on organizational health with the mediating role of organizational accountability”

をもとに、組織の健康性を高めるために必要な要素について考えていきます。


目次

組織の健康とは何か?

この研究では、組織を生き物に例えています。

人間に健康があるように、組織にも健康があります。

組織の健康性(Organizational Health)とは、単に業績が良いことではありません。

例えば、

  • 働きやすい環境がある
  • メンバー同士の関係が良い
  • 組織の価値観が共有されている
  • 成長できる機会がある
  • 新しい挑戦が歓迎される
  • 士気が高い

といった状態を指します。

つまり、

「人が働き続けたいと思える組織」

が健康な組織と言えるでしょう。


良いガバナンスとは?

では、そのような組織を作るためには何が必要なのでしょうか。

研究で注目されたのが、

Good Governance(良いガバナンス)

です。

ガバナンスという言葉は少し難しく聞こえますが、簡単に言えば

「組織がどのようなルールや考え方で運営されているか」

ということです。

良いガバナンスには、

  • 透明性
  • 公平性
  • 参加型の意思決定
  • 法令やルールの遵守
  • 責任の明確化
  • 将来を見据えた意思決定

などが含まれます。

反対に、

  • 上司の気分で判断が変わる
  • 情報が共有されない
  • 誰が責任者かわからない
  • 意見を言いにくい

といった状態は良いガバナンスとは言えません。


説明責任(アカウンタビリティ)の役割

この研究で特に注目されたのが、

Organizational Accountability(組織的説明責任)

です。

説明責任とは、

「なぜその判断をしたのか」
「どのような結果だったのか」

を関係者に説明する責任のことです。

例えば、

  • なぜそのルールを導入したのか
  • なぜその人事配置になったのか
  • なぜその方針を採用したのか

が明確に説明される組織では、メンバーの納得感が高まりやすくなります。


研究で分かったこと

イランの大学病院で働く330名の職員を対象に調査した結果、いくつかの重要なことが明らかになりました。

① 良いガバナンスは組織の健康性を高める

透明性や公平性が高い組織ほど、

  • モチベーション
  • チームワーク
  • 信頼関係
  • 働きやすさ

が高いことが示されました。

組織の健康性と良いガバナンスには非常に強い関連がみられました。


② 良いガバナンスは説明責任を高める

良いガバナンスが実践されている組織では、

  • 役割が明確
  • 情報共有が行われる
  • 判断理由が説明される

という特徴が見られました。

つまり、

「良い組織運営」

「説明責任のある組織」

を生み出すのです。


③ 説明責任は組織の健康性を高める

さらに興味深いことに、

説明責任が高い組織ほど組織の健康性も高くなることが分かりました。

人は不透明な状況に強いストレスを感じます。

逆に、

「なぜそうなったのか」

が分かるだけで安心感が生まれます。

この安心感が信頼につながり、結果として組織全体の健康性を高めている可能性があります。


良い組織は「良い人」で作られるのか?

この研究から見えてくるのは、

良い組織は必ずしも優秀な人材によって作られるわけではない

ということです。

もちろん優秀な人材は重要です。

しかし、それ以上に重要なのは

「良い仕組みがあること」

です。

どれだけ優秀な人がいても、

  • 情報が共有されない
  • 判断基準が曖昧
  • 説明がない
  • 責任が不明確

という環境では組織は不健康になります。

一方で、

  • 方針が明確
  • 情報が透明
  • 責任範囲が明確
  • 意見を言いやすい

という仕組みが整っていれば、組織は健康になりやすくなります。


私たちが学べること

この研究は病院職員を対象としたものでしたが、その内容はあらゆる組織に当てはまるでしょう。

良い組織を作るためには、

  • 透明性を高める
  • 情報を共有する
  • 説明責任を果たす
  • 役割を明確にする
  • 意見を言いやすい環境を作る

ことが重要です。

組織の健康は、偶然生まれるものではありません。

それは日々の運営の積み重ねによって作られるものです。

そして今回の研究は、

「良い組織とは、良い人が集まった組織ではなく、良い仕組みが機能している組織である」

ということを改めて教えてくれています。


参考文献

Taheri T, Amerzadeh M, Alizadeh A, Kalhor R. The impact of good governance on organizational health with the mediating role of organizational accountability: considering the influence of demographic and organizational variables. BMC Health Services Research. 2025;25:892.

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