こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊
慢性的な首・肩・腰・膝の痛み。
「姿勢を良くしましょう」と言われても、うまくできない。
それは意志の問題ではなく、“使い方の癖”が神経系に染み込んでいるからかもしれません。
アレクサンダーテクニック(Alexander Technique:AT)は、
身体を鍛える方法ではなく、身体の使い方を再学習する教育法です。
アレクサンダーテクニックとは?
19世紀末、俳優F.M.アレクサンダーが
自分の発声障害をきっかけに開発した方法です。
彼はこう気づきました。
「症状は局所ではなく、全身の使い方の習慣から生まれている」
ATは、以下を重視します:
- 頭と首の関係(head–neck relationship)
- 不要な筋緊張の抑制(inhibition)
- 全身協調の回復
- 重力に対する効率的な支持
つまり、構造を変えるのではなく、使い方を変えるアプローチです。
どのような人に効果的か?
研究では特に以下に効果が示唆されています:
◎ 慢性腰痛
最もエビデンスが強い領域。
◎ 慢性頸部痛
姿勢や頭部前方位の改善と関連。
◎ 再発性の筋骨格系疼痛
複数部位に痛みがある人。
◎ パフォーマンス向上
音楽家・俳優・ダンサーなど。
あまり効果が出にくい可能性があるケース
- 明確な構造破壊(重度の関節軟骨損傷)
- 急性炎症期
- 神経根症などの明確な器質障害
※これは「効かない」というより、
改善のメカニズムが異なる可能性が高い、という意味です。
実際に何を行うのか?
ATは運動療法とは少し違います。
① 手によるガイド(hands-on guidance)
指導者が軽く触れながら、
- 首の緊張
- 肩の引き上げ
- 腰の固定
- 膝のロック
などの無意識パターンを気づかせます。
② 日常動作の再教育
- 立つ
- 座る
- 歩く
- 物を持つ
- 呼吸する
これらを「力まずに行う」練習をします。
③ セミスパイン(Active Rest)
仰向けで横になり、
重力の中で不要な緊張を手放す練習。
神経系のリセットに近い作用があります。
どのように改善するのか?
ATの改善メカニズムは、筋力強化ではありません。
① 過剰な共収縮の減少
慢性痛では、必要以上に筋が同時収縮していることが多い。
ATはその「過剰ブレーキ」を外します。
② 感覚の再教育(proprioception)
慢性痛では身体感覚が歪みます。
ATは
- 自分がどれだけ緊張しているか
- どの方向に引っ張っているか
を再認識させます。
③ 中枢神経系の再調整
慢性痛は脳の予測モデルとも関係します。
ATは
- 「力まなくても動ける」
- 「安全に動ける」
という新しい運動記憶を作ります。
④ 自己管理能力(Enablement)の向上
研究では、
- 痛みがゼロになるというより
- 「自分でコントロールできる感覚」が大きく向上
することが報告されています。
まとめ
アレクサンダーテクニックは
✔ 姿勢矯正ではない
✔ 筋トレでもない
✔ リラクゼーションでもない
それは、
神経系の使い方を再教育するプロセス
慢性痛や再発性の不調に悩む人にとって、
「治してもらう」から
「自分で管理できる」へ
移行するきっかけになる方法です。
身体の不調がある方にはぜひおすすめの手段です。
参考文献
- Little P, Lewith G, Webley F, et al. Randomised controlled trial of Alexander Technique lessons, exercise, and massage (ATEAM) for chronic and recurrent back pain. BMJ. 2008;337:a884.
- MacPherson H, Tilbrook H, Richmond S, et al. Alexander Technique lessons or acupuncture sessions for persons with chronic neck pain: a randomized trial. Ann Intern Med. 2015;163(9):653–662.
- Essex H, Parrott S, Atkin K, et al. Economic evaluation of Alexander Technique lessons for chronic neck pain (ATLAS trial). PLoS One. 2017;12(12):e0178918.
- Woodman JP, Moore NR. Evidence for the effectiveness of Alexander Technique lessons in medical and health-related conditions: A systematic review. Int J Clin Pract. 2012;66(1):98–112.
- Little J et al. Findings from the development of a novel course of both group and individual Alexander Technique lessons for neck, hip, and knee pain: a mixed-methods study. BJGP Open. 2025; DOI:10.3399/BJGPO.2024.0295.


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