「うつ」と「慢性的な痛み」は、なぜ一緒に悪化するのか?

こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊

「気分が落ちていると、身体も痛い」
「身体がずっと痛いと、何もやる気が出ない」

こうした声は、決して珍しいものではありません。
実は近年の研究で、うつ病と慢性疼痛(3ヶ月以上続く痛み)は、非常に強く結びついていることが明らかになってきています。

今回は、2021年に Frontiers in Psychiatry に掲載された大規模研究をもとに、うつと慢性疼痛がなぜ同時に悪化しやすいのか、そして何が問題になるのかを分かりやすく解説します。

目次

そもそも「慢性疼痛」とは?

慢性疼痛とは、
ケガや病気の回復期間を超えて、3ヶ月以上続く痛みのことを指します。

  • 腰痛
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 関節痛
  • 原因がはっきりしない全身の痛み

こうした痛みが長期化すると、単なる「身体の問題」では済まなくなります。

研究が示した衝撃的な事実

今回の研究では、約14,000人以上のうつ病患者データが解析されました。
その結果、次のような事実が明らかになっています。

● 慢性疼痛がある人は、うつ病になりやすい

慢性疼痛を抱えている人は、うつ病を併発するリスクが約1.8倍に上昇していました。

しかもこれは「たまたま気分が落ちる」というレベルではありません。

● 痛みが強いほど、うつ症状も重くなる

痛みの強さが増すにつれて、

  • 抑うつ症状が重くなる
  • 抑うつエピソードの回数が増える
  • 日常生活の機能が大きく低下する

という明確な相関関係が認められました。

つまり、

痛み ↔ うつ
お互いに悪化させ合う関係

が成立しているのです。

見逃してはいけない「自殺リスク」の増加

さらに深刻なのはここです。

慢性疼痛とうつ病を併発している人は、

  • 自殺念慮(死にたいと考えること)
  • 自殺未遂

のリスクが有意に高いことが示されました。

これは、「心だけ」「身体だけ」を別々に見ていると、見落とされやすい危険信号です。

抗うつ薬は「効きにくくなる」?

この研究で非常に重要なのが、治療反応の違いです。

● 慢性疼痛があると、抗うつ薬の効果が下がる

慢性疼痛を併発している人は、

  • 気分の改善
  • 日常生活の回復
  • 社会的機能の改善

といった抗うつ薬の全体的な効果が低い傾向にありました。

特に、

  • セルトラリン
  • エスシタロプラム
  • ベンラファキシン

といった一般的によく使われる薬で、
効果の低下が目立つと報告されています。

● 痛みを考慮した薬選択は、実際には少ない

多くのケースで、

「うつの薬」として処方されているだけで
「痛み」への配慮が十分になされていない

という現状も明らかになりました。

これは、治療が長期化・難治化する一因になっている可能性があります。

なぜ「心と身体」は切り離せないのか?

この研究が示しているのは、非常にシンプルで重要なことです。

  • 痛みは、神経・脳・自律神経・感情と深く結びついている
  • うつは、気分の問題だけでなく「身体の使えなさ」を伴う
  • どちらか一方だけを治療しても、根本改善は難しい

つまり、

心と身体は、最初から一つのシステム

として考える必要がある、ということです。

運動・身体アプローチの重要性

論文自体は薬物療法が中心ですが、
この結果は運動・身体介入の重要性を強く示唆しています。

  • 身体を安全に動かす経験
  • 痛みの再解釈(「壊れている」感覚からの脱却)
  • 自律神経の安定
  • 「自分で回復できる」という感覚の回復

これらは、
薬だけでは補えない回復要素です。

まとめ:これから増えるであろう問題

この研究は、今後の社会にとって非常に示唆的です。

  • うつ病は増加している
  • 身体活動量は低下している
  • 慢性疼痛を抱える人も増えている

その結果として、

「動けない × 気力が出ない」
という二重の悪循環

に陥る人が、これから確実に増えていくと考えられます。

だからこそ、
心と身体を同時に扱える支援・運動・場づくりが、
これからの社会に必要になっていくのではないでしょうか。

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