B型事業所の役割を、データから再考する― 一般就労以外の「成果」をどう捉えるか ―

こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊

就労支援事業所、とくに 就労継続支援B型事業所については、
「一般就労につながりにくい」という評価が語られることが少なくありません。

実際、統計データを見ても、
B型事業所から一般就労へ移行する人の割合は 1割前後 とされています。

一見するとこれは
「支援の成果が乏しい」
と受け取られがちな数字です。

しかし、このデータは本当に
B型事業所の役割そのものを否定している のでしょうか。


目次

1. データが示している現実

厚生労働省の統計によると、

  • 就労継続支援B型の利用者数は 約50万人
  • 就労系福祉サービスの中で、最も利用者数が多い
  • 一般就労への移行率は 10%前後

という状況が確認されています。

この「利用者数の多さ」と「移行率の低さ」を同時に見ることが、
B型の役割を考えるうえで重要です。


2. なぜB型から一般就労への移行は少ないのか

まず前提として、
B型事業所は「一般就労に近い人」を主な対象としていません。

制度上、B型の利用対象には、

  • 長期間の無業・引きこもり状態
  • 精神的・身体的な不調が安定していない状態
  • 一般就労やA型事業所からの離脱経験
  • 就労以前に生活そのものが不安定な状態

といった人が多く含まれます。

つまり、

一般就労への移行率が低いことは、
支援の失敗ではなく、対象層の特性を反映した結果

と読むことができます。


3. 利用日数データから見えるB型の位置づけ

統計では、
B型利用者の 1人あたり月平均利用日数は約9日前後 とされています。

これは、

  • 毎日安定して通える状態ではない
  • 体調や気力に波がある
  • 「通える日」を少しずつ積み重ねている段階

であることを示唆します。

この段階の利用者に対して、
「一般就労への移行」を唯一の成果指標に設定することは、
現実とズレが生じやすいと考えられます。


4. B型事業所の役割をどう再定義できるか

データを踏まえると、B型事業所は

  • 就労訓練の場
  • 生産活動の場

である以前に、

社会との接点を回復するための中間的な支援の場

として機能していると捉えることができます。

具体的には、

  • 外出・通所という行動の回復
  • 他者と同じ空間にいる経験
  • 作業や役割を持つ感覚
  • 支援者との安定した関係形成

といった要素が、
一般就労に至るかどうかとは別に積み重ねられています。


5. 「一般就労以外の成功指標」を考える

現在、就労支援の成果は
「一般就労に移行したかどうか」で評価されることが多くあります。

しかし、B型事業所の実態を踏まえると、
それ以外の指標も必要ではないかと考えられます。

① 通所の継続性

  • 一定期間、安定して通所できているか
  • 欠席理由を自分で説明できるか

② 生活リズム・体調の把握

  • 睡眠や疲労の自己認識
  • 無理をした際の不調への気づき

③ 対人関係の回復

  • 支援員とのやりとりの安定
  • 他利用者と同じ空間で過ごせる時間

④ 選択肢の広がり

  • A型や就労移行支援を「検討できる状態」になったか
  • 就労以外の社会参加(ボランティア等)への関心

これらは数値化しにくい側面もありますが、
就労以前の段階では重要な変化 です。


6. B型事業所をどう評価するか

一般就労のみを成果と定義すると、

  • B型事業所は「停滞の場」に見える
  • 支援者の実践が評価されにくい
  • 利用者自身の変化が可視化されない

という問題が生じます。

一方で、
B型を「回復と再接続の層」と捉え直すことで、

一般就労に進まなくても
社会参加の基盤を整える支援としての価値

を評価することが可能になります。


おわりに

B型事業所から一般就労への移行が少ないというデータは、
「支援が足りない」ことを示しているのではなく、

就労よりも手前に、支えるべき段階が存在している

という現実を示しているように思われます。

どの段階を「成功」とみなすのか。
その評価軸そのものが、
今、改めて問われているのではないでしょうか。


参考文献・資料

  • 厚生労働省
    令和6年 社会福祉施設等調査の概況
  • 厚生労働省
    障害福祉サービス等の利用状況に関する各種統計資料
  • 厚生労働省
    就労系障害福祉サービスの実態及び課題に関する調査研究
  • 大阪府
    障害者就労支援事業の実績に関する調査報告
  • Bond, G. R., et al.
    Individual Placement and Support (IPS): An Evidence-Based Approach to Supported Employment
  • OECD
    Sickness, Disability and Work: Breaking the Barriers
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次