こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊
「冬になると毎年気分が落ちる」「外に出るのがしんどい」「甘いものばかり食べてしまう」
そんな経験はありませんか?
実はそれ、医学的には 季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD) と呼ばれ、うつ病の一種として正式に認められています。
今回の記事では、医学誌「American Family Physician」に掲載されたレビュー論文(2006)をもとに、SADの特徴・原因・治療法を分かりやすくまとめます。
■ 季節性うつ病(SAD)とは?
SADは、毎年同じ季節(多くは秋〜冬)にうつ症状が出て、春になると自然に軽快するタイプのうつ病です。
典型的な症状は次の通り:
- 気分の落ち込み
- 活動量の低下
- 眠気が強い(過眠)
- 甘いものの食欲増加
- 体重増加
- 疲労感
- 集中力の低下
いわゆる「冬になると動けない問題」は、実は医学的な現象だったりします。
■ どれくらいの人が発症する?
この論文によると、地域によって発症率は 0〜9.7% と幅広いですが、
- 北に行くほど増える
- 女性に多い
- 若者に多い
- 家族内に発症が多い(遺伝の影響が強い)
といった傾向があります。
特に興味深いのは セロトニン輸送体遺伝子(SERT) が関連している可能性があること。つまり、冬に気分が落ちやすい体質は「遺伝的にも起こりやすい」んです。
■ どう診断するの?
SADかどうか判断するために、以下のポイントが重要です。
- 毎年同じ季節に悪化する
- 春になると良くなる
- このパターンが2年以上続いている
- 他の原因が考えにくい
スクリーニングには SPAQ(Seasonal Pattern Assessment Questionnaire) が使われますが、スクリーニングだけでは見逃しが起こるので、専門家による診断が大切。
■ SADと併発しやすいもの
医学的には、以下の疾患・症状がSADと関連しやすいとされています:
✔ 大人のADHD
→ セロトニン関連遺伝子が共通しやすい。
→ 集中力が落ちやすい冬は特に悪化する。
✔ 季節性のアルコール増加
→ 気分の落ち込み → 自己治療的に飲酒が増えるケースがある。
✔ その他
パニック、不安障害、慢性疲労症候群、摂食障害なども併存しやすい。
■ 原因:なぜ冬に気分が落ちるのか?
この論文では、大きく3つのメカニズムが説明されています。
① 光不足による「体内時計のズレ」
冬は日照時間が短くなることで、
体内時計(サーカディアンリズム)が後ろにずれる(phase delay) と言われています。
その結果:
- 朝起きにくい
- 日中のエネルギー低下
- 夜に眠くならない
- メラトニンのリズムが崩れる
という状態になります。
② メラトニン分泌の乱れ
メラトニンは「眠りのホルモン」。
光不足によって分泌タイミングが変化し、睡眠・覚醒が乱れます。
③ セロトニン機能の低下
セロトニンは“心の安定ホルモン”。
冬はセロトニン活性が下がりやすく、SADの主症状と強く関係します。
■ 治療法:何が一番効くの?
この論文では、治療法を「根拠の強い順」にまとめています。
① 光療法(Bright Light Therapy)=最強の治療法
最も効果が高いとされる治療法です。
● 使用する光の明るさ
- 10,000 lux × 30分
- または
- 2,500 lux × 2時間
どちらも効果が実証されています。
● 時間帯は“朝”がベスト
→ 体内時計のズレを強力にリセットできます。
● 注意点
- 専用ライトを使用する(UVフィルター必須)
- 軽度の躁転が起こる可能性(まれ)
※タンニングマシン(紫外線)とは全く別物です。
② 抗うつ薬(SSRI)
フルオキセチン(Prozac)、セルトラリン(Zoloft)などが有効。
- 光療法と同程度の改善を示す研究もある
- ただし副作用の点で光療法の方が扱いやすい
③ 認知行動療法(CBT)
光療法と比較しても、
再発予防ではCBTが勝る可能性もある と報告されています。
- 冬の活動低下を防ぐ
- ネガティブ思考を修正する
- 冬の行動計画を立てる
という点がSADと相性が良い。
■ まとめ:冬に落ち込みやすい人は「光 × リズム × 活動量」が鍵
この論文から得られるメッセージはシンプルです。
✔ SADの改善に最も効果があるのは「朝の光」
→ 光療法 または 朝の屋外散歩(曇りでもOK)
✔ セロトニン・体内時計・活動量の改善が必要
→ 運動習慣は必ずプラスに働く
✔ SSRIやCBTも選択肢として有効
→ 特に重症例や再発例
■「冬になるとしんどい」は体質・光・脳の問題。責めなくていい。
季節性うつ病は“根性不足”ではなく、
科学的に確認されている症状です。
この記事が少しでも役立てば嬉しいです。


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