精神薬と代謝異常:生活習慣でできるシンプルな予防アプローチ

こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊

精神病の薬によって体重が増加してしまったという悩みを持つ方は少なくはないと思います。今回はその原因と、生活習慣から考える対策を書いていきます👇

1.食欲増加の背景

  • 中枢神経系の受容体作用
    多くの抗精神病薬(特にオランザピンやクロザピン)は、 食欲促進、眠気(活動量低下)を促すヒスタミンH1受容体や、満腹中枢の抑制しているセロトニン5-HT2C受容体を遮断することによって、過食傾向になります。
    • H1遮断 : 食欲促進、眠気(活動量低下)
    • 5-HT2C遮断 :満腹中枢の抑制解除 → 過食傾向
  • ドーパミンD2受容体への作用も関与し、報酬系のバランスが変化することで「食欲・快楽性摂食」が増えると考えられています。

2.エネルギー消費量の低下

活動量低下(行動レベル)
鎮静作用や筋緊張低下の副作用により、自発的な身体活動が減る。

基礎代謝率の変化(細胞レベル)
一部の薬は甲状腺ホルモン代謝交感神経系の活性に影響を及ぼし、熱産生(エネルギー消費)を減少させる。
→ 実際、抗精神病薬服用者で安静時エネルギー消費量が低下しているという研究報告があります。

3.インスリン作用への影響

末梢でのインスリン抵抗性

  • 筋肉や脂肪組織でのGLUT4トランスロケーション阻害 → グルコースの細胞への取り込みが低下→血糖値が上がりやすくなる。
  • 脂肪組織では脂肪分解(リポリシス)が進み、遊離脂肪酸が増える → これがインスリン抵抗性をさらに悪化。

膵β細胞への影響

  • 一部薬剤は膵臓のインスリン分泌能を直接障害する可能性が報告されている。

中枢レベルの制御

  • 視床下部におけるインスリン・レプチンシグナル伝達が乱れると、血糖制御のセットポイントが高めにずれる。

4.脂質代謝の異常

肝臓での変化

  • 精神薬によって脂肪酸合成(de novo lipogenesis)が亢進することが報告されている。
  • その結果、肝臓に脂肪がたまり(脂肪肝)、血中トリグリセリド濃度が上がる。

脂肪組織での変化

  • 皮下脂肪よりも内臓脂肪の蓄積を促進しやすい。内臓脂肪は炎症性サイトカインを多く分泌し、インスリン抵抗性をさらに悪化させる。

アディポカインの変化

  • レプチン、アディポネクチンなど脂肪由来ホルモンの分泌異常が起こり、代謝全体に悪影響を及ぼす。

精神薬による代謝異常を防ぐための生活習慣の工夫

1.体重管理を意識する

  • 薬を飲み始めた最初の数か月は体重が増えやすい時期。
  • 体重や腹囲を 週1回 くらい記録しておくと、増えすぎに早く気づける。
  • 「2〜3kg増えたら生活を見直す」など、自分なりの基準を決めておくと良い。

2.食事の工夫

血糖値の急上昇を避ける:甘い飲み物・お菓子・白米やパンを一気に大量にとるのを控える。

たんぱく質と食物繊維をしっかり:肉・魚・卵・大豆製品、野菜・海藻・きのこを増やすことで、満腹感を保ちやすく過食予防にもつながる。

食べる順番も工夫:野菜やたんぱく質を先に、炭水化物は後にすると血糖の上がり方がゆるやかになる。

3.運動の習慣

有酸素運動(ウォーキングや自転車):週に150分程度(1日30分を週5日)が目安.血糖を下げやすくし、体重増加も防ぐ。

筋トレ(自重でもOK):筋肉は「糖を取り込む工場」。スクワットや腕立てなど簡単なものでも、インスリンが効きやすい体になる。

「毎日少しでも動く」ことが最優先。階段を使う、一駅分歩くなど小さな積み重ねも効果的。

4.睡眠とストレス管理

睡眠不足は食欲を強め、代謝を乱す。毎日7時間前後の睡眠を心がける。

ストレスが強いと暴飲暴食や活動量低下につながる。リラックス法(深呼吸、ストレッチ、趣味)を取り入れることも大切。

5.自己チェックと相談

体重・腹囲・食事・運動を簡単にメモしておくと、自分の生活を振り返りやすい。

気になる変化(急な体重増加、強い食欲、疲れやすさなど)があれば、主治医に早めに相談する。

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