こんにちは。就労継続支援B型事業所 明石ぜろぽじです😊
最近太ってきたな、、
痩せたいのに食欲が止まらない😢
などなどダイエットに関する悩みは尽きません。。。
そこで今回は、食べ過ぎてしまう原因の1つ「迷走神経」に関して深堀りしていきます。
はじめに
「食べすぎてしまうのは、意思が弱いから?」
そう思ってしまう人は少なくありません。でも、最新の研究では脳と腸をつなぐ“迷走神経”が食欲や体重コントロールに大きく関わっていることがわかってきました。
今回は、Journal of Clinical Investigation(JCI)に掲載されたレビュー論文(2021年)をもとに、「腸‐脳間コミュニケーションと肥満」の最新知見をわかりやすく解説します。
腸と脳の“会話”は古代から注目されていた
2世紀頃の医師ガレノスはすでに「脳から胃への神経が食欲を司る」と考えていました。
現代の科学では、その神経が迷走神経であり、腸から脳へ、そして脳から腸へと情報が双方向にやり取りされていることが明らかになっています。
このコミュニケーションは、神経による即時的な信号と、ホルモンや血流によるやや遅い信号の2つの経路で成り立っています。
「満腹感」だけじゃない、食欲を増やす仕組み
腸からの信号といえば「満腹感」を連想しがちですが、実は逆に食欲を高める仕組みも存在します。
それが「補餌(appetition)」です。
- 例えば、特定の味や香りが腸での栄養吸収と結びつくと、脳が「もっと欲しい」と学習します。
- これにより、特定の食べ物を見るだけで強い食欲が湧くことがあります。
つまり、腸の信号は「食べるのをやめる」だけでなく、「もっと食べたくなる」方向にも働くのです。
肥満治療の壁
腸内環境を整えることで肥満改善を狙う研究も進んでいます。
例えば、健康なドナーからの糞便移植(FMT)は短期的に血糖や脂質の改善効果が見られるものの、体重やBMIへの劇的な変化は報告されていません。
一方、バリヤトリック手術(減量手術)では、腸‐脳シグナルの変化が食欲低下の一因とされています。
ただし、その効果は単一のメカニズムでは説明できず、ホルモン・神経信号・腸内環境の変化が複合的に作用していると考えられます。
技術進歩で見えてきた未来
近年は、迷走神経の中でも「どの線維が何の信号を伝えているのか」を遺伝学的に特定する研究が進んでいます。
この成果は、将来的に神経モジュレーション(特定の神経回路の刺激・調整)による選択的な肥満治療につながる可能性があります。
薬や手術だけに頼らず、「神経をピンポイントで操作して食欲や代謝をコントロールする」という時代が来るかもしれません。
まとめ
- 迷走神経は腸と脳をつなぐ主要な情報通路
- 腸からの信号は満腹だけでなく食欲増進にも関与
- 腸内細菌や手術による肥満改善は複数の要因が絡む
- 最新研究は神経レベルでの介入による新しい治療法を模索中
食欲や体重は「意志の力」だけで決まるものではありません。
腸と脳の会話を理解することは、健康的な食生活や肥満予防のヒントになるはずです
参考文献
- Berthoud H-R, Neuhuber WL. Gut–brain communication and obesity: understanding functions of the vagus nerve. J Clin Invest. 2021;131(10):e143770. doi:10.1172/JCI143770
- de Lartigue G. Role of the vagus nerve in the development and treatment of diet-induced obesity. J Physiol. 2016;594(20):5791–5815. doi:10.1113/JP271538
- Raybould HE. Gut chemosensing: interactions between gut endocrine cells and visceral afferents. Auton Neurosci. 2010;153(1–2):41–46. doi:10.1016/j.autneu.2009.07.007
- Browning KN, Travagli RA. Central nervous system control of gastrointestinal motility and secretion and modulation of gastrointestinal functions. Compr Physiol. 2014;4(4):1339–1368. doi:10.1002/cphy.c130055
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